Subrow’s Blog

エンジニアとしてのキャリアをベースに「ものづくり」の昔と今、そして未来予想図をこのブログを通じて創っていきます

祇園祭は京都と世界の伝統工芸品展覧会

祇園祭はそろそろクライマックス。

17日の前祭山鉾巡行を控え、既に組み上がった山鉾の周囲では祇園囃子が流れ、浴衣姿の老若男女が行き交う、そんな風情が何とも心地よい。

そして、それぞれの山や鉾に吊り下げられた前掛、胴掛、後掛、水引、見送などの懸装品は、美術館さながらの絢爛豪華な品々である。

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これらの品、京都といえば西陣織と思われそうだが、実は世界各国からの渡来品を輸入して飾ってきた歴史がある。中国、西アジア、ヨーロッパなどシルクロードを介して運ばれてきた品々である。上の写真、よく見るとキリンが描かれているのがわかる。その他にもラクダやフクロウなどが描かれていたりして、日本伝統の祭りでありながら異国文化に触れることも出来る、ある意味珍しい祭りであると言える。

一方、もちろん日本古来の西陣織が施された懸装品も多数ある。それらの中には円山応挙伊藤若冲尾形光琳など著名な近代日本画家の作品を用いたものも見受けられる。これらは、室町時代の終わり頃が発祥とされる西陣織の、およそ500年もの時を脈々と受け継がれてきた技術の結晶であり、非常に文化的価値の高い貴重な品々である。

しかしその日本の代表的な染織文化である西陣織も衰退が著しく、今や窮地にあると聞く。和装の需要低迷、職人の高齢化、後継者不足、が主な要因となっているそうだ。

この業界に親しい方からは「もう手遅れだ」と半ば諦めに近い声もある。

一方で業界団体などは、何とか維持、復活させたい思いで、いろいろと施策を打ってはいるようだが簡単にはいかないのが現実のようだ。

京都で生まれ育ち、これからの京都のさらなる発展を願う身として、今後も西陣織の絢爛豪華な懸装品が飾られ続ける祇園祭であり続けて欲しいと、切に願いたい。