Subrow’s Blog

エンジニアとしてのキャリアをベースに「ものづくり」の昔と今、そして未来予想図をこのブログを通じて創っていきます

一極集中化した中国の生産拠点と、それに依存してきた製造業に今後起こる変化とは

まだまだ新型コロナウィルスの感染拡大は止まりそうな気配がない。

中国で完成品を生産しているメーカーはもちろんだが、三次請け、四次請けの現地企業から部品や素材を調達し、国内で完成品を作っている製造業も、稼働停止に陥りかねない状況になってきているようだ。聞くところによると、中国国内では従業員が2~3割しか出社しない、出来ない工場が多々あるようで、それでは生産が全くおぼつかないのは当然である。

前回も書いたが、中国を「世界の工場」として生産拠点を集中させ利益を上げてきた日本や欧米の製造業にとって、大きな路線変更を余儀なくされる深刻な事態だ。いくらコスト競争力強化と利益のためとはいえ、この生産一極集中に対するリスクを製造業各社はどの程度想定し、ヘッジしていたのか、今さらではあるが今後の動きに注目したい。

f:id:Subrow:20200217164924j:plain

私が考えるに方向性は大きく2つだ。

ひとつは、中国から新たな安い労働力を確保できる国への拠点移転によるリスク分散だ。
その候補としてはアフリカと南アジアだろうか。しかし政情不安定なところが多く安定操業を確保するのは難しそうだし、また未開の地が多いアフリカは中国よりさらに「疫病」リスクは高まるだろうし、そのために製造業各社は多くのコストを掛けなければならなくなるだろう。

もうひとつは、製造業の国内回帰だ。
これはトランプ大統領が就任前から唱えているものだが、製造業各社は反対しており進んではいなかった。しかし製品ジャンルによって温度差もあるようだったので、今回の事象によってどのように動向が変化するのか非常に興味深いところだ。

私自身は、日本が後者の動きになることを期待している。
何故なら、私が今後描いていきたい「ものづくりの未来予想図」にも大きな影響があると想定されるからだ。
現実的な課題が多くあることは十分に認識しているが、徐々にでも実現できれば日本の「ものづくり」再生に大きなインパクトがあるものになるだろう。

高度成長期に、日本が「ものづくり」で一気に世界の頂点に上り詰める過程で培われた、世界に誇れる技術やノウハウは、生産拠点の海外流出によって、また世代交代によって、その多くが消滅の危機にある。

後継者が育成出来ずに廃業の危機にある町工場や伝統工芸、町工場、地域企業はたくさんある。
そこに活力を与え再生させることが、日本の「ものづくり」を再生する道筋になるのではないだろうか。

例えば、衰退しつつある製品、技術、ノウハウと、最新の技術やノウハウのコラボレーションで、新たな縦横の繋がりを作り、化学反応を起こさせ、未来の「ものづくり」を創造することが出来ると考えている。全く違うジャンルやカテゴリーの製品や技術を融合させて、今までにない付加価値の製品、また社会課題の解決に繋がる製品を作り出すのが私の目指すところだ。

このブログでも何度も書いているが、少なくとも日本国内、そして先進各国における「大量生産、大量消費」の時代は間違いなく終わる。昨今、第4次産業革命と称して情報通信分野が脚光を浴びているが、それはそれとして、今後も「ものづくり」がなくなることはないのであって、逆に泥臭い手仕事のような「ものづくり」、人間の五感を駆使した「ものづくり」の将来を大切にしていきたいと常々思っている。