Subrow’s Blog

エンジニアとしてのキャリアをベースに「ものづくり」の昔と今、そして未来予想図をこのブログを通じて創っていきます

中国の感染症禍は昭和/平成型「ものづくり」の終焉を加速させ、次のステージに向かわせる

中国の武漢市から広まったとされる新型コロナウィルス。
日々、感染者は増え続けていて、いまだに収束の気配は見えない。
中国国内では数万人単位での感染者が出ているのは周知の通りで、このまま長引くようだと世界経済や産業にも影響が出てくると考えるのが妥当だろう。

1980年代中盤くらいから世界中の「ものづくり」企業が中国への生産シフトを進めてきた。
もちろんその目的は、人件費の安さを利用した低コスト生産によるコスト競争力強化なのは言うまでもない。
最近でこそ中国も、人件費が上がってメリットが薄れてきたことで、東南アジアなどへの再シフトが進んできているが、自動車や家電などはまだまだ中国生産が多いのが実情だ。が、しかし、その中国にこのような感染症禍が起こって機能不全に陥るリスクが顕在化しているのだ。

「規格品を大量生産、大量販売して利益を得る」という昭和/平成型の「ものづくり」ビジネスを展開してきた日米欧などの企業の多くは既に次の時代を見据えて動き始めている。中国を「工場」として機能させる時代は、もうそう長くないと多くの企業は思っているはずだ。今回の新型コロナウィルス発生によって、ある意味それを加速させる上手い口実が出来たのではないだろうかと考えてしまう。

そもそも欧米人は古くから中国を巨大マーケットとして捉え、長い期間を掛けて戦略的に動いているという話があり、その話が真実とするなら、その第一ステージが終わろうとしているのではないだろうかと思ってしまう。

もともと共産政権である中国の国民は裕福ではなく、欧米の製品を買えるだけの収入がある人はごく限られていた。しかし欧米企業は、14億人近い人口を抱える中国の購買ポテンシャルを掘り起こして、自分たちの製品を買わせれば莫大な利益が得られる、との考えから、まずは自分たちの工場を中国に移転させ、現地の人々を雇用し生産に従事させ始めたのだ。そこには、自国と中国の労働コストのギャップを利用して安く製品を作る、という目的とともに、将来の消費大国化を目論んだ中国国民の収入増、購買力増までを見越した戦略があったのではないか、という話があり、もし本当にそうなら、製造業の国内回帰を提唱しているトランプ大統領の方針もツジツマが合うのである。

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既にご承知のとおり、中国は30年前とは比べものにならないほど非常に豊かになっている。
全体の人口が多いとはいえ、日本の総人口と同数レベルの富裕層が存在すると云われるほどなのだから。
結果、iPhoneに代表される欧米企業の製品を挙って購入し、海外へ爆買いに訪れる中国国民が爆発的に増えた。ここまでを第一ステージを考えると欧米企業の作戦は大成功である。

一方で、賃金も上昇し購買力も上昇した中国は、欧米企業にとってはマーケットとしての魅力は拡大したが、「工場」としての魅力は、もうないと考えているだろう。さすがに今回の感染症禍までを彼らが仕掛けたものと考えるのは無理があるが、それでも「工場」の撤退、再シフトを一気に加速させる口実としては絶妙のタイミングではないか。

もっとも彼らのことだから、既に第二ステージのシナリオは周到に準備しているはずだ。もちろん、AI、ビッグデータ、ロボット、など、4次産業革命がベースになるのは間違いない。

そんな状況を見て、日本は今後どのように「ものづくり」に向き合うのか。
少なくとも少子高齢化、人口減少に直面している日本が向かうべきは、多くの製造業が抜け出せていない「大量生産、大量消費」の呪縛から、早急に抜け出すことであるのは間違いない。

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SDG'sなどの未来志向をベースに世の中を変えるためには、安定したオペレーションばかりが重要視される思考と仕組みを根底から変え、臆することなく自由な発想でクリエイティブに物事に取り組める社会を作ることに尽きる、と思うし、私は「ものづくり」の分野から変えていくことのお手伝いしていきたいと思っている。