Subrow’s Blog

エンジニアとしてのキャリアをベースに「ものづくり」の昔と今、そして未来予想図をこのブログを通じて創っていきます

ノーベル化学賞受賞、台風19号による惨禍、そしてラグビー日本代表の快進撃、を見て思うこと

先週から今週にかけて、目まぐるしくニュースが飛び交う1週間だったと感じているのは私だけではないだろう。

先週末から日本列島に襲来した台風19号は多くの人命を奪い、家屋や農作物などに甚大な被害を与えた。事前の警戒が再三通知されていたにもかかわらず、これだけでの大惨禍になったことは非常に残念だ。ただ今回のような大雨による河川の氾濫や堤防の決壊で、今までの経験値に基づいた治水が通用しないことが明らかになった。地球温暖化の影響かどうかは私にはわからないが、過去に経験のないほどの自然災害が頻発している昨今、今までの概念だけで向き合うことは意味がないと改めて痛感した。

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ノーベル化学賞受賞の吉野彰さん

台風のニュースがあまりにもインパクトが強くて露出が一気に減ってしまい、非常に残念な思いがあるのが、リチウムイオン電池の開発を主導されてきた吉野彰さんのノーベル化学賞の受賞だ。リチウムイオン電池といえば、今や身の回りのあらゆるところにあることはご存じだろう。いや、リチウムイオン電池がなければ生活が成立しないレベルまで来ているといっても過言ではないかもしれない。

ご存知の方も多いと思うが、実はこの方は旭化成に勤務するサラリーマン研究者だ。
思い起こせば2002年に、同じノーベル化学賞を受賞された田中耕一さんも島津製作所のサラリーマン研究者だった。確かに受賞者ご本人たちは云うまでもなく素晴らしいのだが、こういった基礎技術の研究分野に理解を示し投資をし続けた企業側も称えられるべきではないだろうかと思う。事業化するまでに時間やコストがかかり、積極的に取り組めない企業も多いであろうことは想像に難しくなく、どうしても大学での研究が主導になりがちだ。しかし現代の世界的な知の競争から日本が取り残されないためには、こういう企業の積極的な研究への取り組みが非常に大切だと感じる。そういう意味でも非常に価値のある受賞であったのではないかと思う。


ラグビー日本代表

そしてラグビーW杯で、日本代表が4戦全勝で予選プールを首位通過したことも大きなニュースだ。
アイルランド代表に続いてスコットランド代表にも勝ち、この強さがフロックでないことを世界に証明した。日本代表の選手やスタッフや選手たちが、多くの犠牲を払ってこの大会のために打ち込んできた、と語っているが、ゲームの勝ち負けだけでなく、そういう自分たちを進化させる気持ちの強さ、ひたむきさが、これほどまでに「にわか」ラグビーファンを増やしているのだろう。


これらの3つのニュースに触れて思うこと

リチウムイオン電池の開発、普及とラグビー日本代表の躍進は、どちらも明確な意思と目標を持って努力を重ねてきた成果が実を結んだものだ。一方で台風は、人間がいくら努力しようとも避けることが出来ないものだ。言い換えると、人間の意思と努力で変えられるものと、変えることの出来ないもの、その両極端をこの短期間で目の当たりにした気がしている。

今回の台風で、ルートも勢力もほぼ予測されていた通りのものだったのにこれほどの甚大な被害が出たが、今後はいろいろな知恵と工夫でインフラ整備などが進められ、変わっていくことだろう。

さらに個人個人の災害に対する意識を変えることで犠牲者は減らせると思うが、こちらはなかなか進まない印象だ。今回も「川の様子を見に行ったが戻らず」といった犠牲者が何人かおられたようだが、台風や水害が起こるたびにこういう類の人が出るのは非常に残念だ。

今後もさらに巨大な台風が襲来するといわれているが、そういった個人レベルの意識変革が災害対策として必要な状況だと、改めて感じたこの数日だったし、あらゆる意味で変化を受け容れ、自身もそれに適応していくことが今後に繋がるのだと思った。