Subrow’s Blog

エンジニアとしてのキャリアをベースに「ものづくり」の昔と今、そして未来予想図をこのブログを通じて創っていきます

京都の伝統工芸が抱える問題とは 

1200年を越える歴史を持つ京都において脈々と受け継がれてきた伝統工芸。

その長い歴史に培われ、職人たちのたゆまぬ努力で磨き続けられた価値と魅力は、今もって多くの人を惹き付け続ける。

 

外国人観光客

SNSの普及によって外国人の目に留まることも多くなった伝統工芸品。それを目当てに京都に来訪する外国人が多いことは想像に難しくない。

今では、市内外の土産物店は外国人であふれている。

西陣織、京友禅、清水焼、京くみひも、京扇子、京料理、、など、挙げればキリがないが、どれも外国人にとっては、神秘的、魅力的なようだ。

特に欧米からの来訪者にとって全くの異文化でもあり、工房の見学やものづくり体験は非常に人気が高く、数か月先まで予約が詰まっている工房もあるようだが、それについては、また別の機会に書くことにしたい。

 

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観光客目当てのビジネス

祇園や嵐山など人気スポットの近くには、安価で和装体験させてくれる店が乱立している。今の季節は浴衣が大人気。そしてもう少し気候がよくなれば、舞妓や芸妓のいで立ちで街を散策する外国人女性もよく見かける。

しかし実は、レンタルに使われている着物含む和装品は、京都で作られたものはほとんどないのが実態である。ほとんどが海外で生産された安価な品物であり、材質もポリエステルだったりするし、マジックテープで簡単に着付けが出来てしまう代物である。

ビジネスする側からすれば、コストや顧客の回転率を考えれば至極当たり前の発想であるのだが、京都の伝統工芸とはほとんど関連のない世界であることはご承知おき頂きたい。 

 

和装業界の実情

今、京都の和装業界は大変なピンチである。

下手をすると業界自体がなくなってしまう、すなわち伝統が途絶えてしまう窮地に陥っている。需要の減少に伴い原材料や設備の調達が難しくなり、後継人材が育たず職人は高齢化し60代が最も若い世代ともいわれる。

それは需要の減少、すなわち和装をする人が減少しているのが一番の原因であることは言うまでもない。もちろん、本物の西陣織の帯や京友禅の着物を購入して帰る外国人観光客もいるにはいるが、それで業界が存続していけるだけの需要は残念ながら生み出せてはいない。

言わば第二の産業革命といわれるIT情報社会の波に乗っていけなかったツケが、今になって表面化してきているのではなかろうか。そこには、伝統を守っていく使命感の強さのあまり、変化することへの抵抗感が邪魔をしていたのではないかと想像できる。

 

伝統工芸の将来

私は京都で生まれ育ち、京都の伝統工芸やものづくりをリスペクトしている一人である。

和装だけでなく、あらゆる伝統工芸の一品一品は職人の魂と伝統が刻み込まれた素晴らしいものである。私はそんな伝統工芸を未来に繋いでいくことに対して、何かお手伝い出来ないかを日々模索している。

私が何故このように、「京都」、「伝統工芸」、「ものづくり」をテーマにブログを立ち上げたかについてはこのような背景があるのだが、詳しくは追々語っていくこととしたい。